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イタリアの社会問題解説

イタリア在住17年の筆者が、イタリア現地からイタリアの社会問題を読み解きます

移民するイタリアの若者

移民するイタリアの若者たち

 

若者の失業率が高いイタリアでは、多くの若者が国外に移住する。

特に大学卒業者の失業率が高く、医学部や研究者となった若者は、その半分以上が国外に出ると言ってもよい。

 

イタリアは大学が国立で、授業料は日本と比べるとかなり安い。学部によって違うが、年間10万から30万ほどだ。

そして、入学定員枠のある学部を除いて、高校卒業資格で受験を経ずに入学できる。

 

数多くの若者が大学に進学するが、卒業するのはかなり大変だ。容赦なく落第させられ、小手先ではいかんともしがたい試験に、多くの若者が、仕事が見つかった時点で大学を去る。

 

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 大学を去らずに研究者や医者となった若者には、仕事が無い。なので、主にイギリス、ドイツ、オーストラリアなどに移民してしまう。

 

イタリアの高等教育機関の教育程度はかなり高いので、外国では引く手はかなりあるのだ。

 

ただ、これらの若者は、イタリア国に対して苦々しい思いを胸にいだいて出国する。

家族や友達を大切にするイタリア人にとって、一人で外国に行かなくてはならない状況に追いやった国を恨むのだ。

そして、国も、税金を投入して養成した優秀な人材を失うことになる。

最近イタリアの損失は二重である、と叫ばれている。

 

 

労働市場の硬直化

 

イタリアは労働市場が硬直化しており、新しい仕事を創出する機会に恵まれていない。

複雑な税制と、煩雑な手続き、起業後の必要経費の高さ、税金の高さ…

ヨーロッパ一、起業が難しいと言われるイタリアの社会システムでは、新しい事業を興すのはベテランでもかなり難しく、ましてや未経験の若者には至難の業だ。

 

最近の不景気では、ベテランの起業家でさえ、イタリアに愛想をつかして、スイスなどに移住するケースが後をたたない。

そんな優秀な人材を失う日々に追い打ちをかけて、多くの移民がアフリカや中東から押し寄せる。

そしてそんな彼らを税金でまた養って、仕事を与えている。社会民主主義は貧乏人と外国人労働者を積極的に受け入れる。なぜなら彼らは単純労働を受け入れるからだ。

 

イタリア人の若者でも単純労働を受け入れるものには仕事があるが、大卒人材には仕事が無い状況は、今後の国の発展に間違いなく影響を及ぼすことだろう。

 

日本やアメリカに比べ、社会主義的傾向が強いヨーロッパでは、政治による主導なくしてはことが大変起こしにくく、イタリア国民はなんとか今の危機をしのぎながら、国やヨーロッパが新しい道筋を示してくれることを今か今かと待ち望んでいる。